- 2025年12月26日
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スマレジのAIは何を助けるのか?人が判断する前提で考える業務支援
業務の中で検討対象に上がった、スマレジの新しい動き 日々の業務や相談対応の中で、使っているサー……

ネットショップの相談をうけていると、「最初に何にお金をかけるべきか」が話題に上がりがちです。撮影機材、広告、サイト制作、在庫、パッケージ。どれも必要に見える。けれど現場の空気としては、全部を揃えたから前に進む、という順番になっていないことも多いです。
BASEの「オーナーズ調査2025」を眺めていると、その感覚が数字として見える場面がありました。ネットショップ開設のために用意した資金が「0円」のショップが24.7%で、全体の4分の1にあたります。さらに、開設資金が「10万円未満」と答えたショップが全体の約7割という記載もあります。(BASE, Inc.)
「資金が少ないから小さく始めた」というより、「小さく始められる構造が先にあって、その構造に乗っている」感じがします。
もちろん、0円でも成立するのは一部の条件が揃っているからです。既存の販路がある、SNSで見つけてもらえる、制作が自前でできる、在庫を薄く持てる。そういう前提が静かに必要になる。ここが、同じ“0円”でも再現性が揺れるところだと思います。
それでも、この数字が気に留まるのは、いまの中小規模のネットショップが「大きな投資より、続けられる設計」を探しているように見えるからです。続けられる設計という言い方は少し硬いですが、要は「息切れしない形」です。
まずは調査の枠を確認しておきます。対象は「BASE」を利用しているショップで、インターネット調査。期間は2025年10月23日〜11月2日、有効回答数は1,083です。(BASE, Inc.)
この時点で、国内のネットショップ全体をそのまま代表する数字ではありません。BASEユーザーの傾向が強く出ます。ここは前提です。
ただ、前提を置いたうえでも「いま何が起きやすいか」を考える材料にはなります。特に、スモールチームの行動は市場の変化より先に出やすいです。身軽なので、先に動いて、先に困って、先に工夫する。その結果が数字に残ることがある。
調査では運営体制が「個人」71.5%、「法人(団体)」28.5%。運営人数は「1名」77.4%、「2〜4名」21.9%で、4名以下が99.3%という並びです。
つまり、悩みの中心にいるのは“人手が少ない運営”です。ここは読み方の芯になります。
開設資金の内訳が並んでいます。「0円」24.7%、「1円〜3万円未満」20.7%、「3万円〜10万円未満」22.2%……という形で、10万円未満の層が厚いです。
この並びを見ていると、資金が少ないショップが多い、というより、始め方が分岐しているように思えてきます。
どれが正しい、という話ではないです。ここで気になるのは、「最初の資金」そのものより、資金の置き方が“運営の形”を決めてしまうことです。ですます調で言うと、初期費用はただの支出ではなく、運営の重心になりやすいです。ここは少し怖いところでもあります。
そして、最初に売上につながった取組みとして最も多いのが「SNSでの情報発信」61.3%です。次いで「商品画像の工夫」23.5%、「商品紹介文の工夫」19.9%。一方で「SEO(検索エンジン最適化)対策」は8.9%、「広告の出稿」は8.5%という数字になっています。
ここを見て「SNSが正解」と言い切るのは違う気がします。ただ、最初の売上がどこから生まれやすいか、という“発火点”の傾向は出ているように見えます。

なんか、最初の売上って「正しい方法」より「届いた場所」の差が大きい気がする。
届いた場所。ここに戻ると話が進みます。最初の売上は、戦略の成果というより「見つかった偶然」の比重が高いことがあります。だから発火点をどこに置くかで、次の一手も変わってしまう。
調査の中で、越境EC(海外へのオンライン販売)の項目がかなり生々しいです。「興味がある」ショップが68.6%。内訳は「すでに実施している」13.5%、「まだ実施はしていない」55.1%です。
興味はある。けれど、実施までは届いていない層が厚い。ここが現実の輪郭です。
さらに、「対応が大変だと感じる・大変そうだと思う」が73.7%。
興味68.6%と、大変そう73.7%が並んでいるのは、気持ちの中に“矛盾を抱えたまま置かれている領域”があるということだと思います。
負担に感じる業務としては、上位がこう並びます。
そして、「海外にかんたんに販売できる機能がある場合、利用して販売してみたい」が90.3%です。
つまり「売りたい気持ち」は強い。ただし “やることの塊” が重い。そこに機能や代行の価値が生まれる、という構図に見えます。
ここは中小規模ほど切実です。人手が少ないと、越境ECは売上の話というより、事故対応の話になります。事故対応に時間が吸われると、国内の通常運営も崩れがちです。そこまで想像すると、躊躇が増えるのは自然です。
越境ECで大変そうな業務として、返品・返金、関税・税金、送料設定が上位に並びました。
この並びは、売る行為より“戻す行為”“揉めたときの行為”の比重が大きいことを示しています。ここが国内と違う。
小さな運営にとって、イレギュラー対応は一発で一日が溶けます。しかも海外だと時差や言語も絡む。だから、越境をやるかどうかは、売上の期待より「事故に耐えられるか」で決まることが多いです。これは感覚として分かる人が多いはずです。
それでも「かんたんに販売できる機能があるなら使いたい」が90.3%です。
つまり、越境そのものを否定しているわけではなく、運用の塊が嫌われている。ここがポイントです。

ちょっと、海外って聞くだけで「トラブルの顔」が先に浮かぶんだよね。
トラブル、たしかに先に浮かびます。だからこそ、越境を検討するなら「売上が増えるか」ではなく、「運用が増えない形があるか」を先に見た方が現実的です。ですます調で言うと、越境は売上計画より運用設計の話になりやすいです。
AIの活用も出ています。ネットショップ運営でAIを活用しているショップが48.6%です。
半数に届きそうで届かない数字。ここがリアルな温度に見えます。使った人は便利さを知るけれど、使わない人は「ふれる時間がない」まま置いていかれる。そんな分岐が起きやすい割合です。
AIで活用したい業務は「文章作成」62.4%が最多で、「画像編集や商品写真の生成・加工」42.1%などが続きます。
文章が一番になるのは、わかる気がします。商品説明、告知、問い合わせ返信、規約、配送遅延の案内。ネットショップは文章の仕事が多いです。ですます調で書くなら、文章は“見えない作業時間”のかたまりです。
ただ、AIで文章が速くなっても、売上が自動的に伸びるわけではありません。むしろ「書けてしまう」ことで、発信量が増えすぎて疲れることもあります。そこは注意点として残ります。
PR・販促の項目もあります。SNSや動画プラットフォームなどを活用しているショップが82.7%。
ここまで高いと、SNSは“やるべき施策”というより、運営の一部になっていると見たほうが近いです。
積極的に活用しているSNSは「Instagram」89.6%が1位で、「X(旧Twitter)」39.5%、「Facebook」37.8%、「LINE」16.7%、「YouTube」14.6%、「ブログ」13.3%、「TikTok」10.6%などが並びます。
Instagramの強さが続いている、という説明も本文にあります。
この数字の読み方は少し慎重にしたいです。Instagramが強いから全員がInstagram一本で良い、とはならない。けれど「何となくSNSを始める」ときに、最初の置き場所がInstagramになりやすい空気は出ています。
一方で、ブログが13.3%というのも、静かに存在感があります。華やかさはないけれど、残る。探している人に届く。そういう立ち位置です。短期の発火点はSNS、長期の積み上げはブログ、という分担が現場では起きがちです。
ここから先は、数字を材料にしつつ、現場側の影響をほどいていきます。整理しすぎると嘘っぽくなるので、いくつかの観点で眺める程度にとどめます。
「最初に売上につながった取組み」でSNSが61.3%という数字は、売上の作り方が“接点の作り方”に寄っていることを示していそうです。
接点とは、見つかる場所、話しかけられる距離、買う理由が伝わる場。これが先にある。
売上を伸ばす話になると、どうしても広告や施策の話に寄ります。でも、小さなチームでは施策より先に「続けられる接点」が必要です。ですます調で言うと、売上は作れますが、運営の体力は増えにくいです。体力がないまま売上だけ伸びると、崩れます。
なので、売上の観点で見るなら、次の2つが分かれ目になりやすいです。
この2つは地味ですが、後で効きます。
調査では、最初に効果的だった取組みとしてSEOが8.9%です。
この数字は「SEOは不要」という意味ではなく、最初の売上のフェーズでは効きにくいことが多い、というだけかもしれません。SEOは時間がかかります。だから最初の売上には間に合わない。
広告も8.5%。
広告は即効性があるように見えますが、運用の学習コストが高い。小さな運営ほど、広告費より“管理コスト”が負担になります。ですます調で書くと、広告はお金だけではなく注意力を食べます。
一方で、ブログが13.3%という数字もあります。
ブログは華やかな集客には見えません。ただ、商品や業界によっては、あとから効くタイプの資産になります。特にBtoB寄り、専門性が高い、選定に時間がかかる商材では、検索経由の接点が強い。そこに静かな勝ち筋が出ることがあります。
SNS活用が82.7%という数字は、購入者側の体験にも影響します。
お店の情報は商品ページだけではなく、投稿やストーリー、ライブ、コメント欄で補完される。購入は「ページを見て判断」から、「関係の流れの中で判断」に寄っていきます。
この変化は強いです。良くも悪くも、店側の顔が見える。小さな店にとっては、これはチャンスでもあります。大きなブランドの広告には勝てなくても、距離の近さでは勝てることがあるからです。
ただし、距離が近いほど、問い合わせも増えます。返信の速度が期待される。運用が追いつかないと、体験が落ちる。ここが難しいです。AIで文章作成を使いたい理由が「文章作成」62.4%というのも、その圧力と関係していそうです。
良い点として見えるのは、こういうところです。
一方で、立ち止まりたい点も同じ重さであります。
ここまで並べても、どれが正しい、は出ません。出ないままの方が良い気もします。現場はいつも混ざっているからです。
この調査を読み終えたあとに残るのは、「小ささ」が弱点だけではなく、前提として受け入れられている、という感覚です。個人が7割、1名運営が7割超。
この規模感に合わせて、売上だけでなく運用の重さ、文章の負担、越境の怖さが語られている。そこが現実に近いです。
そして、越境ECの項目が象徴的でした。やりたい気持ちは強いのに、怖さも強い。興味68.6%、大変そう73.7%。
この矛盾を抱えたまま、何かを決めていくのが中小の運営です。決めきれないこともある。決めきれないまま、少しずつ近づくこともある。
最後に残しておきたいのは、数字の読み方というより、判断の置き場所です。
「0円で始めた」こと自体がすごいのではなく、0円でも始められる形に何が必要だったのか。そこを想像すると、次の迷い方が少し変わるかもしれません。